勝率5割から抜け出すために。

- 作者: 柴田ヨクサル
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/09/19
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彼は年功序列のような平凡な将棋人生を送った
勝率はだいたい5割 弱くもないが 強くもない…
それが僕だ
(『ハチワンダイバー4巻』第30話「プロ棋士」より)
自らの将棋人生をこのように述懐する海豚七段ですが、実にリアルな苦悩です。将棋のプロ棋士である佐藤慎一四段(日本将棋連盟 棋士紹介:佐藤慎一)が自身のブログ『サトシンの将棋中心日記』で、とある競技の元日本チャンピオン*1との会話として次のようなことを記しています。
「たぶん佐藤くんは今のままだとそこそこ勝ってそこそこ負ける、並の棋士で終わっちゃうよね。自分より弱い人には勝てても、自分より強い人には確実に負けるタイプだよ。一流の人っていうのはさ、みんな凄い爆発的な武器を1つは持ってるんだよ」
(明日は対局−サトシンの将棋中心日記より)
上記の記事は将棋ファンのみならず多くの方に読んでもらいたい名文です。ぜひ全文をお読みくださいませ。勝負の世界に生きる者ならではの会話だと思います。
ちなみに、将棋界における勝率とは次のように考えられます。
勝率の話をしておきます。羽生二冠の〇・七三〇が現役棋士中で最高の戦績で(対局数一〇〇以上)、七割を超えているのは五人もいません。二勝一敗ペースの〇・六六七を超えれば一流です。
(中略)
「一流でも七割」という数字は将棋の難しさを象徴しています。一番強い人間でも全ては理解できていない、ということですから。
(『頭脳勝負―将棋の世界 (渡辺明/ちくま新書)』*2p73より)
才能ある者同士がしのぎを削るプロの世界。勝つか負けるかの世界ですので、勝率5割が当たり前ですが、それでは一流にはなれません。厳しい勝負の中でいかに抜け出すか。抜け出した棋士と他の棋士ではいったい何が違うのか。それが知りたくて、私はトッププロの将棋や言動に注目したりしています。

- 作者: 渡辺明
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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