獅子王戦=竜王戦挑戦者決定3番勝負が8月17日からスタート!

3月のライオン 3 (ヤングアニマルコミックス)

3月のライオン 3 (ヤングアニマルコミックス)

 『3月のライオン』3巻では獅子王戦が桐山の大きな目標となっています。この獅子王戦は、現実の将棋界におけるタイトル戦のひとつ、「竜王戦(参考:竜王戦 - Wikipedia)」がモデルとなっています。
 すなわち、日本で最大の新聞社*1=読売新聞主催の棋戦で、その賞金額の高さゆえに名人戦と並ぶ2大タイトルとして将棋ファンに知られています*2
 そんな獅子王戦の挑戦者決勝トーナメントで、桐山は挑戦者決定3番勝負目前まで勝ち進んでいます。作中では島田開八段に格の違いを見せ付けられての完敗を喫してしまっているので印象に残りにくいかもしれませんが、17歳という若さでそこまで勝ち進んでいるのは驚異的な戦歴です。中学生でプロ棋士となった将来の名人候補としての大器の片鱗を伺わせます。
 作中では、桐山を破った島田八段と、スミスを破った後藤九段によって獅子王戦挑戦者決定3番勝負が行なわれることになります。そして、その様子はネットで中継されて、対局中の様子を伝えるブログも適宜更新されます。そんな獅子王戦のモデルとなっている竜王戦の挑戦者決定3番勝負が明日8月17日から始まります。
TOPページ|竜王戦中継
 竜王戦は確かに賞金額の高さゆえに注目されるタイトルではありますが*3、将棋ファンにとって何よりありがたいのはネット中継が充実していることです。タイトル保持者対挑戦者の番勝負だけでなく、その前段階である挑戦者決定トーナメントから無料で充実したネット中継を行なってくれてる棋戦は竜王戦以外にありません。となれば、当然のことながらネット上での将棋ファンの注目度も自然と高まります。
 『3月のライオン』作中で林田先生が学校の教室でネット中継を観戦してますが、それはまさにネットをたしなむ将棋ファンの日常でもあります。竜王戦挑戦者決定3番勝負は深浦康市王位対森内俊之九段で行なわれて、先に2番勝った方が渡辺明竜王(渡辺竜王のブログ:渡辺明ブログ)との7番勝負を戦うことになります。将棋の中継と聞くと難しく思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、一手ごとに解説が付いていて、できるだけ分かりやすく多くの方に楽しんでもらえるようにという配慮されています。『3月のライオン』で将棋に興味を持った方にはぜひ観て欲しいです。
 ちなみに、「A級ナメてんじゃねーぞ」という後藤のセリフがありますが、ここでいうA級とは順位戦(参考:順位戦 - Wikipedia)の所属クラスのことで、獅子王戦(竜王戦)とは異なる棋士の格付けです。もっとも、当然ながら強い棋士順位戦竜王戦も上位にくることになるんですけどね。順位戦竜王戦の関係は、サッカーのJリーグにおけるリーグ戦と、Jリーグカップ天皇杯ナビスコ杯)と同じようなものだと考えれば分かりやすいかもしれません*4
 さらに竜王戦に興味津々な方には、『永世竜王への軌跡』(渡辺明毎日コミュニケーションズ)がオススメです。渡辺竜王竜王挑戦権を得てさらに5連覇して永世竜王位を獲得するまでの軌跡が描かれています。主要10局の自戦記と残り31局の棋譜と解説が収録されています。手順の解説だけでなく対局中の心理状態なども率直に語られていて充実の内容となっています。ホントにホントにオススメですよー。
【関連】『3月のライオン 3巻』将棋講座 - 三軒茶屋 別館
永世竜王への軌跡

永世竜王への軌跡

*1:発行部数的に。

*2:伝統ある名人戦と賞金額の竜王戦の、どちらが序列1位のタイトルとして相応しいのか?という議論が一部のファンの間ではありますが、神学論争になるのでここでは踏み込まないことにします(笑)。ちなみに、公式には竜王戦が序列1位のタイトルとされるみたいです(参考:棋戦情報:日本将棋連盟)。

*3:対局料・賞金額についてはこちらを。獅子王戦と竜王戦がほぼ同じシステムであることが確認できると思います。

*4:ただし、正確にはこれは逆です。将棋の順位戦をもとにJリーグのシステムが作られました。参考:サッカー協会の川渕さんが、将棋の順位戦が大好きで、将棋のシステムをJリーグに取り入れたんです。