『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』』(入間人間/電撃文庫)

 短編集です。みーくんがみーくんになる前、小学校4年生の頃の短編4本と、if話1本が収録されています。小学生時代の”ぼく”ですが、語り自体は従来とそれほど違いはありません。ただ、一部の表記がわざとひらがなに開かれたりして小学生っぽさを演出しようとしつつも、そのついでに言葉遊びがあったりして、ふざけた感じは相変わらずです。それでいてえげつないのも相変わらずです。

春『うそが階段を上るとき』

 事件の後遺症で精神病院に入院した”ぼく”と恋日先生と仲の良い入院患者たちによる、互いの苦しみを理解しあいながら、病院の外でも前向きに生きていくことを誓い合っていく姿にこちらまで勇気をもらえます。(嘘だけど。)

夏『ともだち計画』

 精神病院から退院した”ぼく”。再び学校に通うようになって、周りとうまくやっていけるのかな?いじめられたりしないのかな?って心配だったけど、浜名さんや赤池くんといった友達ができました。これからも学校ではみんなと仲良くやっていけそうです。(嘘だけど。)

秋『蟻と妹の自転車籠』

 楽しい楽しい遠足。みんなと楽しくおしゃべりして山の中を歩きながら思い出すのは、動物好きの妹と過ごした山中でのとある出来事。動物愛護の精神が養われる文部省推薦のハートウォーミングなお話です。(嘘だけど。)

冬『Happy Child』

 クリスマス間近の12月のある日。病院でばったり出会った”ぼく”とマユちゃん。ぼくがたまたま発した一言が、後に二人が過ごす幸せな日々のきっかけとなります。二人の子供の初々しい会話には、読んでるこっちまで微笑ましい気分にさせられます。(嘘だけど。)
 ……少しだけマジレスしますと、さすがにこうした状況にマユが放置されているのは、いかに物語内のこととはいえ少々腑に落ちません。本シリーズはどこまでも表面的な語りが特徴ですし、それはそれでよいのですが、一方でこうした”浅さ”があるのも確かです。この辺りが、本シリーズを万人向けのものとしてオススメできない弱点だと思っています。

とってももしもにもしかして『壊れていない正しさのある世界』

 誰かにとっての幸せが、他の誰かにとっても幸せだとは限りません。それでも、もしかしたらあったかもしれない世界には、平凡な日常とたくさんの笑顔とラブコメがあります。そんな虚数解なお話です。

 ちなみに、7巻p185に出てくるトーエは「夏」に出てくる浜名遠江のことで、ヤマナさんは「春」に出てくるヤマナさんのことですね。また、同作者の『電波女と青春男 2』に出てくる外見年齢20台前半の美容師・大井遠江と浜名遠江はおそらく同一人物で、「夏」でのぼくとトーエの髪の毛についての会話が美容師という職業の伏線になっている、ということだと思います。名字が違いますけれど、それについてはいろいろあったのでしょう、ということで。
 私は雑誌の連載とかはまったく追いかけていないので、本になっていない部分についてのリンクは不明です。また、それとは別に何か私が気が付いていないリンクもあるかもしれませんが、何せ登場人物に感情移入するのが難しいシリーズなので、それを把握するのにも独特の難しさがあります。リンク自体の評価も人それぞれでしょうし、気が付いたら適宜指摘していきたいと思いつつも、あまりこだわる必要もないかな?とも思っています。まあ、好きに読むのが一番ですね(笑)。
【プチ書評】 1巻 2巻 3巻 4巻 5巻 6巻 7巻 8巻 9巻 10巻