棋士とおやつ

ハチワンと缶コーヒー - 三軒茶屋 別館
 上記の頭脳戦漫画と甘いものについての記事との関連で、では実際の将棋の棋士はどのように糖分を補給しているのかを私の知っている範囲で紹介してみたいと思います。
 『ちはやふる』の千早はチョコ好きのようですが、チョコと聞いて真っ先に思い浮かぶのが加藤一二三九段です。加藤一二三九段伝説でもおやつに板チョコ10枚食べた。 数枚まとめてバリボリ。とありますが、他にフルーツも大好きらしく、とにかく糖分の摂取に余念がないようです。
 まあ加藤九段は特別だとしても(笑)、タイトル戦では対局者におやつが用意されるのが定番となっています。例えば、今年の3月に行なわれた王将戦第7局:羽生善治王将対深浦康市挑戦者では両者ともフルーツの盛り合わせとオレンジジュースを注文しました(併せて、羽生はホットコーヒー、深浦はアイスコーヒーを注文)。
http://mainichi.jp/enta/shougi/ohshoblog/2009/03/post-339.html
 フルーツの盛り合わせとオレンジジュースという組み合わせは味の観点からは個人的に疑問手ですが(苦笑)、ブドウ糖の補給といった観点からは単刀直入な注文だといえるでしょう。もっとも、フルーツの盛り合わせの他にもケーキや和菓子、アイスクリームといったものもよく注文されますから、単に栄養補給という意味だけではなく気分や好みも当然あります。
 このように、将棋のタイトル戦のネット中継では食事やおやつのメニューが隠れた(?)人気コンテンツとして定番の話題になっています。
羽生王座、洋風おやつに転向か―NIKKEI NET 将棋王国
 しょうもないといえばしょうもないですが(笑)、長考が数時間にも及ぶことがある将棋の対局における張り詰めた緊張感の中にあって、おやつの話題は対局者のみならず観戦者にとっても息抜きの時間になっているのは確かだと思います。おやつと勝負とを関連付けて、羽生名人は和菓子と抹茶との相性が悪い、などといった冗談を楽しむこともできますしね(笑)。
 和服で洋菓子をほおばる姿を想像するとどことなく滑稽ではありますが、たとえば渡辺竜王などは、3時のおやつは何よりも楽しみにしている、とのことなので、よい棋譜を残してもらうためにも大目に見ることにしましょう(笑)。また、おやつの話題で最近面白いなと思ったのがこちらの記事。
おやつ : 妻の小言。
 真剣勝負のなかにあっておやつの行方が気になって仕方がない渡辺竜王の様子も可笑しいですが、注文など気にせず一心不乱に読みに耽っておやつを食べる佐藤九段の様子も、いかにも燃料補給さえできればいいといった様子が伺えて可笑しいです。将棋の内容を、特にネットで検討していると、棋譜記号ばかりが飛び交って、ともすれば理数的なゲームの世界だと思いがちです。それはそれで間違いではないのですが、一方では人間同士の汗臭い勝負でもあります。そうした人間性というものを、食事やおやつといった話題が思い出させてくれます。
 最後に、棋士と食事・おやつについてもっと詳しいことを知りたい方にはこちらのサイトをご紹介ー。
将棋棋士の食事とおやつ
 将棋のネット中継の楽しみ方のひとつとして、こうした話題に気をつけてみるのも面白いと思いますよ。