競馬王編集部・編『負けないPOG入門』競馬王新書

負けないPOG入門 (競馬王新書20)

負けないPOG入門 (競馬王新書20)

競馬王新書という競馬好きしか知らないような新書があるのですが、これまでのラインナップは主に予想法などフジモリは普段スルーするような内容でした。
今回フジモリの食指が動いたのは『負けないPOG入門』。後日大大反省会を行う予定ですが、2008-2009年度のPOGが散々たる結果でした。
2009年POGフジモリ指名馬(牡馬編) - 三軒茶屋 別館
2009年POGフジモリ指名馬(牝馬編) - 三軒茶屋 別館
来月より新馬戦も始まりまた新たなPOG1年がスタートしますが、捲土重来を期して本書を手に取ったしだいです。*1
POGって何?という方はまずこちらをご覧ください。
【ご参考】ペーパーオーナーゲーム - Wikipedia
個人的には、POGは馬を見る目が養われるとともに、注目する馬が増えることで予想の精度が上がるというメリットがあると思いますので*2やって損はないかな、と思っています。参加型POGも数多くあることですし。
そしてこの本、『負けないPOG入門』。

POG本を教科書とするなら、本書は参考書のような位置づけになります。(P7)

とある通り、通常のPOG本と異なり、本書は今年デビューする馬の写真とかデータとかはほとんどありません。しかしPOGの「傾向」を洗い出すことでPOG本で紹介される数々の新馬たちを「絞り込む」ために大いに参考になります。
まずは「血統編」。主要種牡馬、新種牡馬の傾向を解説し、サンデーサイレンスなき混沌としたPOG戦線を生き延びるための基礎が書かれています。
その次は「データ編」。POGに慣れた人なら経験則として持っている、「調教師」「生産者」「馬主」などのファクターを洗い出し、またいわゆる「セオリー」の真偽を明確にすることで「負けない」馬を選定する手助けになります。
次は「戦略編」。候補馬を指名するだけではなく、「POG」という駆け引きについての戦略が書かれています。
そして「温故知新POG鼎談」。2004年からのPOG戦線を振り返ります。経験者は「あーこんな馬いたなー」と懐かしがることうけあいです。
本書でも書かれているのですが、POGは「情報戦」です。当然、好きな馬を指名しその馬が走れば一番嬉しいですが、好きな馬がたくさんいるなかでどうやって絞っていくか、そのファクターとして本書に書かれている事項は非常に参考になります。
フジモリが「なるほどー」と思ったのは、
・新種牡馬は初年度に良い結果を見せたいため、良い繁殖牝馬をつける。したがってその種牡馬の実力以上に産駒が走る。(初年度ドーピング)
・芝を走る馬はダート馬よりも獲得賞金が倍以上。最初からダートを走りそうな馬を指名するのは損。
・クラシック候補は秋デビューの場合が多いが、指名時点では強い調教をされていない場合が多い。調教をされた時点の能力が未知数であり、その点では早期デビュー馬(すでにびっしり調教されている)は「出走すること」はほぼ確実であるため有利。
・2007年産は2006年の種付けであり、この年にはカネヒキリドリームパスポートが活躍したためフジキセキ産駒が人気があった。またアグネスタキオン産駒の種付け料が500万円から1200万円にアップしたため産駒数が少なくなる一方で繁殖牝馬の質が良くなった(と思われる)。
などです。今年のPOGはこの辺を念頭において候補馬をピックアップしようと思っています。
役に立ったかは来年のこの時期に判明すると思いますが(笑)、POGで「負けたくない」人は読んで損はない一冊だと思います。

*1:もちろん「負けない」という戦い方が邪道であることは重々承知の上ですが。。。

*2:一方、指名した馬に情が入ってしまうという予想にとってのデメリットもありますが。