QuickJapan12月号に『バクマン。』担当編集者のインタビューが掲載

QuickJapan12月号購入。特集は「漫画の底力」と題し浦澤直樹15,000字インタビューをはじめ、多くの漫画家のインタビューが掲載されています。
そのなかで、『バクマン。』の作者大場つぐみ小畑健へのQA、担当編集者相田聡一へのインタビューが興味深かったのでご紹介を。
もともと、『バクマン。』は『DEATH NOTE』コンビである大場つぐみ小畑健の二人で描く、と決められていたわけではないそうです。
ラルΩグラド』の連載が終了した小畑健に対し、いくつかの企画を出す中で、大場つぐみが持ってきた「漫画家の話」を出したところ非常に食いつきがよかったとのこと。どうやら、小畑健藤子不二雄Aの『まんが道』が大好きで、小畑健なりの『まんが道』を描きたい、という思いがあったそうです。
編集会議でも『バクマン。』3話分のネーム(この「ネーム3話分」って、『バクマン。』でも出てきましたよね)の反応がよく、連載がスタートしたという次第。
担当編集者相田聡一へのインタビューで興味深かったのが、以下の話。

スポーツ漫画が流行ったおかげでそのスポーツの競技人口が増えたという話があるように、『バクマン。』を読んで「とりあえず漫画を描いてみよう」という読者が増えたなら、と。『バクマン。』がうまくいけば漫画家志望者が増える。漫画家志望者が増えれば、『ジャンプ』の未来は明るい。編集者としては、そんなことも夢見ています。(P57)

とあるとおり、『漫画』を一つのジャンルと捉え、『バクマン。』がその裾野を広げるための漫画となれば、という思いもあるようです。
確かに、現実問題として『漫画』というジャンルは厳しい状況かもしれません。携帯電話など他の娯楽に押され、多くの雑誌が休刊する昨今暗い話題の多い漫画業界、他の娯楽やスポーツと同じように、いわゆる「競技人口」を増やすことがその業界の活性化につながることは事実だと思います。
この話で真っ先に思い浮かべたのは、同じく小畑健が作画した『ヒカルの碁』。空前の囲碁ブームを巻き起こし、囲碁の競技人口を劇的に増やした、というこの漫画ですが、『バクマン。』は漫画業界にとって『ヒカルの碁』と成り得るのかもしれません。
ジャンプで将来なりたい職業についてのアンケートをとった際に「漫画家」がかなり上位だったそうで、編集部内では『バクマン。』連載への追い風になったそうです。(ちなみに「声優」も上位だったそうです)
主人公を「中学3年生」とジャンプ本来の読者層に合わせ、『ジャンプ』編集部と変に架空の雑誌名にせず、「正々堂々」と漫画の「裏側」を書く*1バクマン。』。実際、『バクマン。』が始まってから原稿の持込みや投稿者の年齢が若くなっているそうです。
QuickJapanの記事には、展開についての話や原作・作画の二人のやり取りなど非常に興味深く読むことができました。『バクマン。』そのものも編集者が心配するぐらい(笑)速い展開でテンポよく進んでいるそうなので、1月と3月に出る単行本を楽しみに待ちたいと思います。

*1:もちろん描かれていること全てが全て真実ではないですが。