テレビドラマ『ハチワンダイバー』第8話感想

 超展開キター。
 遅効性の猛毒を飲んで解毒剤を賭けての将棋って、それ何て男塾で何てジョジョですか(笑)。いや、もう原作とはストーリーは離れてますから、それはそれ、これはこれと開き直って楽しませてもらいました。一応シリアスなつもりなのでしょうが正直笑いどころの方が多かったです。いやー笑った笑った。大なり小なり不自然な点は多々ありますが、もうそんなのどうでもいいです(笑)。
 妹・歩美の命を賭けた勝負ですが、華道家であるの弟・春日智也が言うところの桜の樹の下には死体が埋まっている、というのは梶井基次郎『桜の樹の下には』(青空文庫)が元ネタですね。で、その桜と死体とを分けてるのは薄氷一枚という表現は原作7巻が元ネタになっています。また、陶芸家である兄・春日京介によって語られた鬼将会の目的というのも原作と同じです(もっとも、手段はかなり異なるみたいですが)。オリジナル展開とはいえ原作もそれなりに活かしたものになっているのは一応指摘しておきます。が、それにしたってね(苦笑)。
 この後の展開にもビックリ。本部の場所や建物にもオイオイって思いましたが、最後に用意されていたサプライズに驚くやら呆れるやら。ツンデレならぬヤンデレだったとは、完全に裏をかかれました。ってか、どんでん返しすればいいってもんじゃないでしょ。
 何か、今回のお話でやれることはやっちゃったような感じすら受けるので、ここからどうやって話をつなげていくのか非常に気になります。いやー、ホントにどうするんでしょ?(笑)。



 将棋の方は、まずはそよ対春日弟・智也戦。

 そよは受け師の異名の通り堅陣「ダイヤモンド美濃」を組み上げます。対する智也は力将棋。そよの受け将棋にも腕力でつぶしにかかります。ところが、受け将棋を信条とするはずのそよですが、本局では力対力の真っ向勝負に挑みます。ここから互いの意地と意地とがぶつかり合った攻め合いが展開されます。

 ▲9三角(!)の王手に対して△同玉とした局面。この玉の位置は銀冠の小部屋(ぎんかんのこべや)という妙に寄せにくい位置として知られています。ここから▲9一龍△9二銀▲9五歩。

 本局の命運を分けた局面です。次に9四歩と王手で取り込まれてはたまらないと判断した智也は△8三玉と先に逃げます。が、▲9三金(!)。

 先の△8三玉が敗着。△8五桂とすべきで、恐ろしいことにこの金打ちで後手玉は寄ってしまっています。受け師の豪腕が炸裂した一局でした。
 ちなみに、この将棋は原作6巻収録のそよ対澄野戦が元になっています。興味のある方はぜひ原作の方にも目を通してみてくださいませ。
【関連】ハチワン=081=オッパイと読んでしまう人のための『ハチワンダイバー 6巻』将棋講座(原作6巻の将棋の解説です。)
 続いて春日兄・京介対菅田戦です。

 ▲5五馬の王手成銀取り。王手なので菅田は△3三銀打としましたが▲7七馬。

 攻めの要である成銀を素抜かれてしまいました。絶体絶命の菅田はここでダイブ。必死の反撃に出ます。

 布石の金打ち。そして、

 △6三角(!)。先手の玉と4五の金の両方を睨んだ攻防の角です。この手で完全に先手は参ってしまいました。以下数手で京介投了。一見ピンチに見えた局面からの鮮やかな寄せが光る名局です。
 ちなみに、この将棋には元となった棋譜があります。1997年に行われた名人戦第6局・羽生善治谷川浩司がそれです。第十七世永世名人が決まった歴史的な将棋です*1。よろしければぜひ並べてみて下さいませませ。
【関連】将棋の棋譜でーたべーす:羽生善治対谷川浩司(元ネタとなった将棋の棋譜です。)

【感想】 第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第9話 第10話 第11話

*1:某巨大掲示板にダイブして拾ってきました。情報を提供して下さった皆様方に感謝感謝です。