テレビドラマ『ハチワンダイバー』第7話感想

 リベンジマッチきたー。の前に、「みるくさんは僕のもの」の意味が明かされたわけですが、これ人形? いや、多分このシーンだけ本人が中で立ってたんだと思いますが、よく分かりません。
 で、将棋を始める前に、真剣将棋ならではの「何を賭けるのか?」が問題となるわけですが、ここでのグダグダはちょっと省略されてる箇所があるものの、ほぼ原作どおり。いや、理屈の上では賭けになってないのは明らかですが(笑)、でも気持ちの上では賭けてますよね、間違いなく。このあたりの不器用なやりとりが頭脳勝負である将棋との対比もあって面白いです。まさに『ハチワンダイバー』の醍醐味です。菅田とそよの会話や表情といった漫画での微妙な機微をドラマで表現するのは難しいんじゃないかと思ってたのですが全然杞憂でしたね。役者さんはすごいです。
 墓穴を掘った形で動揺したまま対局開始。将棋と女を目の前に、菅田は無理苦理の力技ではありますが、それでも何とか両者を両立させる生き方を見出します。それが、勝つこと。勝ち続けること。
 飛車を仕留められてからの告白しながら指すシーンはこっ恥ずかしくて見ていられません(苦笑)。文字山の盤外戦術も酷かったですが、今回の菅田の指し方も人によっては相当迷惑に感じるでしょう。よい子は絶対に真似しちゃ駄目ですよ(笑)。
 将棋の方は終盤の勝負どころでのダイブで妙手を引っ張り出したことで菅田の勝利。原作を読んでたときも思ったのですが、二こ神との修行の成果というよりはそよへの告白による気合で勝っちゃったって感じで、二こ神さん涙目です。ただ、あの修行があったから、ひいては海豚七段のリベンジ失敗という将棋があったからこそ、今回の菅田のリベンジ成功という結果が物語的にご都合主義にならずにすんでるのだと思います。なので、二こ神さんとの修行は決して無駄ではなかった、ということにしておきましょう(笑)。
 そして急展開キター。原作だと鬼将会潰しを狙いとしている斬野もドラマではここで退場。代わりに菅田の妹、歩美登場。前からちょくちょく出てはいましたが、何ですかこのキャラ? そよのクーデレに対抗してのツンデレってことですか?(笑) いや、菅田がこれまで切り捨ててきたもの、目を背けてきたものの象徴として身内が出てくるのはよーく分かります。納得です。ただ、歩美もプロを目指してたっぽくて、だったら兄である菅田とも将棋連盟でちょくちょく会ってなきゃおかしいのにそうでもなくて、それでいて将棋はかなり強いときたらキャラクタ設定として辻褄を合わせるのが何気に大変なんですけど。……まあ、細かいことはあまり気にしないことにしましょう(汗)。
 そよに歩美と、菅田は鬼将会との戦いから逃げるわけには行かなくなったところで脅迫キター。ってか警察は賭場に踏み込む余裕があるならこういうときにこそ出張っていかなきゃ駄目じゃないですか。賭け事には気を使うのにこうした誘拐や脅迫はOKなのがテレビドラマの放送コード的なおかしさではありますが(苦笑)、とにもかくにも次回は菅田だけでなく久々に受け師の将棋も見れるみたいです。菅田の師匠も物語に絡んでくるみたいですし、いったいどうなるのでしょうか?



 将棋の方はリベンジマッチを受けて立った斬野は前回と同じく三間飛車を採用。これに対して菅田は意表の対策を見せます。

 目には目を三間飛車には三間飛車を。ということで相三間飛車となりました。滅多に見ない形です。ここで先手は前回と同じく▲7四歩と仕掛けることはできます。できますが、詳しい変化は省略しますが、後手からの△3六歩を軸としたカウンターが厳しくてなかなか上手くいきません。まさにリベンジマッチに相応しい対策です。双方手出しが難しい形なので、見た目の派手さとは裏腹に本来なら地味な戦いになりがちです。ところが、

菅田はここで敢然と仕掛けていきました。果たしてこの手は成立しているのでしょうか? 難しすぎて私には何ともいえません。ここから飛角が乱舞する大乱戦の始まりです。

 菅田の飛車は死んでしまいましたが、取られる前の飛車利きを生かして菅田は△7六香と打ちました。斬野には「辛い手だな」と言われましたが、実戦的にはなかなかの手だと思います。

 終盤の山場の局面です。斬野はここで菅田の玉が詰めろになっていると言いましたが、実はそうではありません(笑)。まあ、際どいことは確かなんですけどね。そこで菅田はダイブして読み切りを狙います。

 鮮烈な馬切り。作中だと”詰めろ逃れの詰めろ逃れの詰めろ”ということでしたが、前述とおりその前の局面が詰めろじゃないので何かの間違いじゃないかと思います(汗)。それでも、やはりこの馬切りは輝いています。他にも勝ち方がないわけじゃないですが、時間の切迫した局面であることを考えれば最強の手こそが最善の手だと評するべきでしょう。斬野は最後の足掻きにでますが、

この歩打ちで菅田の玉に寄りはありません。攻防共に見込みなしで斬野投了も止む無しです。
 本局は原作5巻収録の将棋と同じものだと思いますので、興味のある方は原作の方もお読みくださいませませ。
【参考】ハチワン=081=オッパイと読んでしまう人のための『ハチワンダイバー 5巻』将棋講座(原作5巻の将棋の解説です。)
 ところで、これまでテレビドラマ『ハチワン』の感想はコミックス準拠のものだっただけに将棋の内容にも触れることができましたが、次回からはオリジナルの展開になると思われますので、今後の感想では将棋については考察できなくなるかもしれません。何卒ご容赦くださいませませ。

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