テレビドラマ『ハチワンダイバー』第6話感想

 オッパイオッパイうるせーよ(爆笑)。
 とはいえ、ここでの二こ神さんの言葉はなかなか重みがあります。

女だけは必死で積みあげてきたもののとなりに一秒で座る。

 「私と仕事とどっちが大事なの?」というテンプレな質問がありますが、どんなテーマで物語を作ろうとしても、恋愛だけは常に重要な問題として入り込んできます。
 二こ神からの弟子入りのオファーに対して菅田が速攻で断るのは原作どおりです(笑)。ただ、その後二こ神の提案をもう一度真剣に考え直して、奨励会員だったころのプロの師匠のことに思いを及ぼすのはドラマになって追加された要素です。これはドラマの方が自然な心理だと思います。菅田の師匠については原作よりもドラマの方が重点を置いていますね。
 で、20年前に二こ神に敗れた海豚七段登場。ってかキャラ濃いよ(笑)。原作だとどっちかと言えば地味なキャラですが、ドラマだと顔芸で二こ神と演りあっちゃってます。こういうときイケ面キャラの菅田は分が悪いです(笑)。あまりに原作とキャラが違うので戸惑いましたが、この第6話はホントにテンポが速すぎます。なにしろ、原作だと単行本第4巻に当たる分量を丸々1話で収めてしまっているのですからね。短い時間の中でプロ棋士としての存在感を出そうとすると、どうしても原作よりも異色なキャラにせざるを得なかったものと推察されます。
 少々飛ばされ気味ではありますが、海豚の口から語られるプロ棋士のプライドはとても大切だと思います。プロアマ戦は現行棋戦でもたまに組まれています。もちろん戦績はプロが圧倒していますが、百戦百勝というわけにもいかないのもまた当然のことで、プロが苦杯を嘗めることもままあります。なので、アマがプロに一勝したくらいでは特別なニュースにはなりませんが、それでも、やはりプロがアマに負けるというのはあってはならないことですし、だからこそ、アマが打倒プロを目標に掲げる価値があるのです。
【参考】第18回世界コンピュータ将棋選手権関連の私的まとめ(アマとプロの関係について簡単に触れてます。)
 二こ神対海豚七段戦のリベンジマッチもまたハイテンポで進みます。中盤での玄妙な手の応酬がすっ飛ばされているのは将棋ヲタ的には正直残念です。特に”真剣師の手”は外して欲しくはなかったです。でもまあ、変人キャラ同士の一戦ですが将棋を指してるシーンそのものは演出控えめの真面目なものになってましたから良しとしましょう(苦笑)。局後のあいさつも爽やかなものでしたしね。
 そして始まった二こ神による菅田の修行。この辺はバトル漫画によく見られる修行のシーンを彷彿とさせるものがありますが、さして違和感がないのは、将棋もまた頭脳と精神の格闘技だからでしょう。升田幸三の逸話が省略されちゃったのは残念でした。
 修行は終わり、次回は斬野とのリベンジマッチ。次回予告を見る限りでは、今後のストーリーはドラマオリジナルの展開に大きく舵を切ることが予想されます。これまでは比較的原作に忠実なストーリー展開だったので原作厨として冷静に観ることができましたが、これから先どうなるのか? 不安に思いつつも楽しみです。
【関連】インタビュー:神野神太郎(二こ神)役 大杉漣さん



 二こ神対海豚七段のリベンジマッチ。二こ神得意の雁木を海豚七段は真っ向から迎え撃ちます。

 ここから一気に終盤戦。展開速すぎです(笑)。

 ドロドロの終盤戦。二こ神玉は入玉目前ながらも龍を捕獲されてしまい駒の戦力差では一見すると絶望的です。そこで放たれた二こ神の▲2九香!

 ただで取れる香なので海豚七段は同龍と取りました。そしたら、

 ▲5三桂成! 龍と馬の両取りがかかってしまいました。終盤でこんな大技が出てしまっては勝負の流れは如何ともし難いです。

 ▲5三馬で海豚七段投了。投了図からは△5一玉しかありませんが、▲6二と金までの詰みです。
 ドラマではかなり省略されてしまいましたが、原作(第4巻に収録)の二こ神対海豚戦は本当に大熱戦です。興味のある方は原作の将棋を吟味なさってみてくださいませませ。
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