少女漫画版『図書館戦争』

図書館戦争 LOVE & WAR 第1巻 (花とゆめCOMICS)

図書館戦争 LOVE & WAR 第1巻 (花とゆめCOMICS)

 まさかこの柄の表紙のマンガを買うとは思いもよりませんでした。
 弓きいろ『図書館戦争 −LOVE&WAR−』は、有川浩の小説『図書館戦争』をコミカライズしたものです。
 興味深いのは、『図書館戦争 −LOVE&WAR−』(弓きいろ・画)と『図書館戦争 −SPITFIRE!−』(ふる鳥弥生・画)と2種類のマンガが連載されていること。弓きいろ版はLaLa、ふる鳥弥生版は電撃大王です。
 両作品とも原作をうまく料理していますが、掲載誌の違いもあり、味付けの方向が異なっているところが面白いです。
 まずは原作を知らない方にあらすじを。
 時は正化31年。昭和最後の年に公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として「メディア良化法」が成立、施行されて30年経っていた。武力をも行使して出版物を検閲するメディア良化委員会に対抗し、図書館は図書隊という自前の防衛部を所持するようになった。
 主人公、笠原郁はある出来事がきっかけで、女性では珍しく防衛部への配属を希望して図書隊に入隊した。郁は鬼教官の堂上にしごかれながら、一人前の図書隊員を目指すのだが……。
 というお話です。*1
 弓きいろ版は「いかにも」な少女漫画風アレンジ。もともと有川浩作品は少女漫画との親和性は高いと思っていましたが、まさかここまでしっくり合うとは思いませんでした。
 なにせ背表紙からしてこれ。

 笠原郁の人生を変えた「王子様」。その「王子様」に対する笠原の思いを軸に物語が紡がれており、比較的「メディア良化法による言論弾圧」や「良化特務機関と図書隊の抗争」というシリアスな要素は控えめになっています。おまけに手塚は当て馬の如く最初からヘタレキャラで、原作とのギャップを良い意味で楽しめました。
 1巻では「熊合宿」のところまで。若干詰め込みすぎの部分はありますが、マンガから小説にポロロッカする読者が出ることを期待できそうな内容でした。
 コミカライズされた図書レンジャーを見て思ったのは、「堂上と笠原の身長差が一目で分かるなあ」でした。
 こんな感じで。

 原作では小説という媒体なので、笠原と堂上の身長について彼らが身長について言及している際にその身長差を再認識する、という感じでしたが、漫画では常に高身長の笠原とチビの堂上が向き合いますので彼らのやり取りに一層面白さが増します。そりゃあ堂上も気にするわなぁ。
 あと、フジモリお気に入りのドロップキックのエピソードもしっかり描かれていて楽しめました。

 表紙が表紙なので男性読者は敬遠しがちかもしれませんが、読了後、原作本をもう一度読み返したくなる、そんな一冊でした。
【参考】
フジモリの書評 三軒茶屋本館 有川浩『図書館戦争』メディアワークス

*1:本館書評のあらすじを丸コピペしています(笑)