ライトノベル読みにオススメの創元推理文庫
- 作者: 似鳥鶏
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/10/31
- メディア: 文庫
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おかげさまで珍しく書評記事にアクセスが集まっています(書評サイトなのに・笑)。どうもありがとうございます。
ミステリ(特に本格)には伝統芸みたいなところがありますから、若い書き手と読み手の開拓は必要なことですし、押さえるべきところさえ押さえられていれば少しくらいラノベチックなものが出ても何の問題もないでしょう。特に本書の場合、ミステリとしては手堅い出来ですし、それでいて青春小説・キャラクタ小説としての面白さがありますから胸を張ってオススメできます。次作が出るなら「買い」です。
一般にコアなミステリ読みのために存在している思われがちな創元推理文庫ですが、なかには若い人・ライトノベルを好んで読んでいる読者層にも喜ばれるんじゃないかなぁ、というような作品があったりします。そこで、今回はそうした作品をいくつか紹介させていただきます。
- 作者: 谷原秋桜子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/11/30
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- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/06/10
- メディア: 文庫
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- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/12/18
- メディア: 文庫
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『春季限定〜』に始まる小市民シリーズですが、これの二作目である『夏季限定トロピカルパフェ事件』について作者が面白いことを語っています。
昨年出した『夏季限定トロピカルパフェ事件』は幸い若い読者にも受け入れられたんですけれども、これについて面白いことを言ってくれた方がいます。この小説をロジカルな本格ミステリとして読んで面白いと思う層はたぶんあまり多くはない。ではどこを面白いと思って読んでいるかというと、最終章で主人公と黒幕とが丁々発止のやりとりをするんですが、それをあたかも少年マンガのバトルもののように楽しんでるんだと言うんです。考えてみれば、名探偵がいて犯人がいて、彼らが孤島なり密室といったバトルフィールドで推理を用いてバトルをするという構造が読者にとっては大事なのであって、そのとき論理的な解決であるかといったことは重視されていないんじゃないかと。
(『ユリイカ 2007年4月号』p80より)
確かにミステリには少年マンガのバトルものと近しい読み方が可能な部分があります。が、それにしても驚きです。と同時に、確かにこういう読み方もできますね。ミステリを楽しむ場合において、何も推理というロジカルな部分だけを画一的に楽しまねばならない理由などありませんしね。いずれにしても、続きが気になるシリーズです。
ちなみに、『春季限定〜』の解説で、「人が殺されない」ミステリであることが特徴として挙げられています。創元推理文庫はそれ以前からそうしたミステリ、いわゆる「日常の謎」と呼ばれるミステリをいくつか刊行しています。
- 作者: 北村薫
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1994/03/27
- メディア: 文庫
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- 作者: 加納朋子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1999/08/19
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- 作者: 城平京
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1998/07/19
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- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/12/21
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- 作者: 松尾由美
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2002/05
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以上、長々と書いてきましたが一点だけ。ここで紹介した作品は、「ライトノベル読みにオススメしたい」などという前提条件なしでも普通に楽しめるものばかりです。ってか、傑作ぞろいです(笑)。書店等で見かけることがありましたら軽い気持ちで手にとってもらえれば幸いです。