ハチワンで考える将棋の強さとは何か?

今週のハチワンダイバー - ピアノ・ファイア
 思い付きを少々。
 現時点での私見ですが、将棋の強さは、広さ、深さ、直感の3つに大別できると思います。ある局面においてAとB2つの選択肢があるとして、どっちがいいか判断に迷うときには、双方の手について読み進めた結果を比較してどちらが最善かを判断することになります。そうしてようやくAが最善だと判断して指したところ、実はCという手が最善だったりすると、広さが足りなかったということになります。つまり、”間違った手をいくら考えても無駄”ということになります。しかし、その手が間違ってるかどうかなんて読んでみなきゃ分からないのも確かで、有限の時間の中で深さと広さのどちらを追求するかは個性の分かれるところでしょう(ボナンザ以前のPCは深さ重視、ボナンザ以降は広さ重視、がコンピュータ将棋の大まかな流れと言えるでしょうか)。
 そこでたどり着くのが直感です。これは局面を一目見てパッと浮かんじゃう手のことです。そんなの運任せじゃね? と思われるかもしれませんが、これを意識的に磨き上げようとしているのが羽生三冠です(そうした試みについてあちこちで発言されています)。二こ神がハチワンに対して行った修行での10秒将棋デスマッチは、この直感を磨き上げるための作業だったのではないかと推測しています。
 あと、これは私にもうまく説明できないのですが、仮に互いが最善を求めて指し続けていくと、一方に形勢が傾いた場合に、勝負を度外視して理論を優先した場合にはその時点で勝敗がついたことになるのでしょうし、そうなったら結果も一直線ということになります。ところが、トップの棋士は違います。特に羽生三冠などこうした傾向が顕著なのですが、悪くなった場合には局面を複雑化させて、相手に最善手を指すことを難しくさせてしまいます。そうして相手に次善手を指させつつさらに局面を複雑化させ、いつの間にか逆転しちゃう。そんな嘘みたいな指し方があるのです。昨日行われた王座戦第2局・羽生×久保戦がまさにそうです。この対局、序盤は羽生が悪かったらしいのですが、結果的には羽生勝ちとなってます。これはホントに理解不能で、プロ棋士が見ても「どこで逆転したのか分からない」という意味不明な解説をしちゃうような現象が起きちゃうのです。”複雑化”は広い意味では”粘る”と同義ですが、厳密には少し違います。”ミスを待つ”と”ミスらせる”の違いとでも言えば良いでしょうか? 将棋ってホントに面白いですね(もっともあの将棋の場合、▲1五歩と突いた手が一手早かったのがムニャムニャ・笑)。
 以上、あとでブラッシュアップするのを前提で思い付きを書いてみました。異論反論等ありましたらどしどしお寄せ下さいませ(ペコリ)。ハチワンが将棋の強さ、将棋における”読み”というものをどのように表現していくのかは、今後も局面のチェック作業とは別に注目していきたいです。
〔追記〕すいません。書き忘れてましたが、当然のことながら”知識”は大事ですね。ただし、大事な一方で過信しちゃうと”広さ”が失われることにもつながります。その辺りも難しいですね。
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